2013年にグッドデザイン賞を受賞した、丹生川町折敷地にある岐阜県営の丹生川ダム。その堤頂部を渡り五味原湖のほとりを進むと、木地屋渓谷の入り口に着きます。木地屋渓谷は丹生川ダムの上流域にある荒城川（あらきがわ）の渓流で、水平に近い節理面があり河床は滑らかに水を流すため、夏場の川遊びの場として地元の人にも愛されている場所です。

荒城川流域は飛騨地方の地質を特徴づける大陸棚のようなところで、堆積した飛騨外縁帯の森部層、荒城川層を土台としています。大雨見山（おおあまみやま）を中心に活動した火山の大雨見山層群が広く分布しており、さらにその上を槍穂高カルデラ火山の丹生川火砕流堆積物、上宝火砕流堆積物が覆っています。
上流域には、大雨見山火山のもとになったマグマが地下深いところで冷え固まった「五味源文象斑岩」とよばれる大きな岩盤が上昇しています。

丹生川ダムはこの岩盤を土台にしてつくられており、ダムをのせている五味原文象斑岩は、およそ6600万年前に活動した大雨見山火山のもとになったマグマが上昇してきたものと考えられています。秋には紅葉が水面に映え、冬には湖面全体が結氷した純白な広がりを望むことができる、四季折々の風景が美しい場所でもあります。