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乗鞍岳の植生のご紹介

お花畑 (画像提供:飛騨乗鞍観光協会)

 乗鞍スカイラインでは、平成15年(2003年)からマイカー規制を行い、また、ボランティアによって外来植物除去作業を行うなどで乗鞍の貴重な植生を守る活動をしています。
 そんな地道な活動が実り、近年はまた高山植物が少しずつ増えてきました。今回はそんな乗鞍の貴重な高山植物を紹介します。

高山植物の特徴

高山植物とは、一般的には森林限界よりも標高の高い場所に生える植物の総称です。
乗鞍スカイラインの森林限界は、標高2,500mと言われているので、それよりも高いところに自生している植物のことになります。

森林限界とは:高木が生育できず森林が形成できない限界線を指します

高山植物は、多くの低地植物にとって非常に過酷で生育できない環境下でも、生育できる植物なため、低地植物とは違った特徴を持つものが多くあります。

特徴① 植物全体の大きさに対して花が大きく華やかである。

特徴② 厳しい環境でも育つために、葉は小さく内側に巻いていたり、多肉であったり、毛に覆われているいるものが多く、地下茎が発達している。

特徴③ 丈夫な地下茎がある為、葉や花が枯れ落ちてもまた来年そこから茎や葉を延ばす多年草が多い。

特徴④ 種から発芽し開花するまでの期間が非常に長く、平均して5~20年かかる。

 乗鞍岳の高山植物は、長い冬と、とても短い春と夏の間に花と実をつけなければいけないため、ほとんどの植物が7月から8月に開花します。

乗鞍の過酷な環境でも強く生きる植物たち

積雪が多く寒冷で、一日の寒暖差が大きく、水分が少なく貧弱な土壌、陽射しが強く紫外線が多いなど、厳しい乗鞍の環境で強くたくましく生きる植物たちをいくつか紹介します。

乗鞍の高山植物

コマクサ (画像提供:飛騨乗鞍観光協会)

【コマクサ】花期:7-8月

紫褐色のとても美しい形容をしているのに、他の植物が生育できないような厳しい環境でも生育できることから「高山植物の女王」と呼ばれています。花の形が馬の顔に似ていることから駒草と呼ばれるようになりました。乗鞍では魔王岳・富士見岳周辺で見られます。

【ハクサンイチゲ】花期:7-8月

高山帯の湿った草原に生育します。白色の花弁に見えるのは萼(ガク)です。高さは20~50cm。

乗鞍ではお花畑・大黒岳・鶴ヶ池周辺で見られます。

【チングルマ】花期:7-8月

高山のお花畑の多湿地に群生する小低木です。花は3cmほどの白い五弁花で多数の黄色い雌しべと雄しべがある。花が終わると雌しべが放射状に広がり綿毛になります。高さは10-20cm。

乗鞍ではお花畑・鶴ヶ池周辺で見られます。

【イワツメクサ】花期:7-8月

高山の礫地に生育する多年草です。5弁花ですが、花弁1枚1枚の真ん中に深い切れ込みが入っているのでまるで10弁花のように見えるのが特徴です。高さは10-20cm。

乗鞍ではお花畑・鶴ヶ池周辺・魔王岳で見られます。

【クロユリ】花期:7-8月

高山帯の草地に生育する多年草です。花は鐘状で、茎先に斜め下向きにつけます。暗紫褐色または黒紫色で網目模様があります。また、花から悪臭を放ちます。高さ10-20cm。

乗鞍ではお花畑で見られます。

【ミヤマキンポウゲ】花期:7-8月

高山帯の湿地に生育する多年草です。花は直径2 cmほどで、丸みを帯びています。雪解けあとに開花します。高さは10-30cm。

乗鞍ではお花畑・鶴ヶ池周辺で見られます。

【ミヤマキンバイ】花期:7-8月

高山帯の砂礫地、草地に生育する多年草です。直径2cmほどの黄色い花を咲かせます。高さは7-20cm。

乗鞍ではお花畑・大黒岳・鶴ヶ池周辺で見られます。

【コバイケイソウ】花期:6-8月

亜高山の草地や湿地などの湿気の多いところに生育する多年草です。高さ1mほどにもなる大型の植物で、穂の先に白い花をつけます。有毒であるため注意が必要です。高さは50-100cm。

乗鞍ではお花畑・鶴ヶ池周辺で見られます。

【イワギキョウ】花期:7-8月

高山の砂礫地や草地に生育する多年草です。背の低さに比べて大きな青紫色の花を横または上向きに咲かせます。高さ5-10cm。

乗鞍全域で見られます。

【ウサギギク】花期:7-8月

高山の草原地帯に生育する多年草です。茎は一本で直立し、黄色い花を一輪咲かせます。高さは20-30cm。

乗鞍ではお花畑・鶴ヶ池周辺で見られます。

【ヨツバシオガマ】花期:7-8月

高山帯の湿地に生育する多年草です。シダのような葉が茎の節ごとに四葉のように生えていることから名づけられました。高さは10-40cm。

乗鞍岳ではお花畑・鶴ヶ池周辺で見られます。

【トウヤクリンドウ】花期:8-9月

高山の砂礫地や草地に生育する多年草です。花は淡い黄色で、青緑色の模様があることが特徴です。日照していないときは花が閉じてしまいます。トウヤクとは「当薬」のことで、胃薬になることから名づけられました。高さは10-30cm。

乗鞍ではお花畑・鶴ヶ池周辺で見られます。

画像提供:植木ペディア

【ハイマツ】花期:7月

高山の森林限界より上部に自生する常緑針葉樹です。名前のごとく地を這うような樹形で、少しでも生育しやすい環境を求め、一生の間に、根をのこした状態で100m近く移動するといわれています。樹高は1-2mのものが多い。

乗鞍全域で見られます。

乗鞍岳外来植物除去作業ボランティア募集

 中部山岳国立公園「乗鞍岳」では、近年になり「セイヨウウタンポポ」を始めとする外来植物が繁殖し、貴重な高山植物の生態系が破壊される恐れが出てきました。「乗鞍美化の会」では、乗鞍岳へ侵入した外来植物の除去を行うボランティアの方を募集されています。貴重な高山植物などが将来に渡って見ることができる環境を皆さんで作っていきましょう。

乗鞍岳自然観察教室参加者募集

 乗鞍岳では、乗鞍岳自然観察教室を開催しています。
内容としては、自然観察員と共に乗鞍岳周辺を、乗鞍岳のなりたち、貴重な動植物や自然愛護について説明を受けながら散策をするものです。
素晴らしい自然の遺産を守り、後世に引き継ぐために、少し学んでみませんか?

詳しくはこちら:乗鞍岳自然観察教室

※乗鞍岳には、立入禁止エリアがありますので、登山の際にはご注意ください。

※高山植物の伐採や持ち出しは禁止されています。

【参考サイト・文献】

岐阜県環境生活部環境企画課:https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/143420.pdf
高山植物図鑑【かぎけんWEB】:https://www.kagiken.co.jp/new/db_kozan-plant.html
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 朝日新聞社「コトバンク」:https://kotobank.jp/word/%E9%AB%98%E5%B1%B1%E6%A4%8D%E7%89%A9-62117
https://kotobank.jp/word/%E6%A3%AE%E6%9E%97%E9%99%90%E7%95%8C-82753
乗鞍スカイライン公式HP:https://norikuradake.jp/

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