～笠ヶ岳カルデラ火山～
６８００万年前～６６００万年前、この地が大陸のヘリにあった頃に活動していた火山です。ピストンシリンダー型噴火により、カルデラ内に大量の噴出物が層状に堆積し、浸食によりできた穴毛谷には、１６００ｍの厚さで堆積する横縞模様が見えます。高温の堆積物は節理によって連続する垂直崖を形成しています。

～大雨見山火山～
笠ヶ岳とほぼ同時期に活動した火山で、球果流紋岩を含む溶岩、溶結凝灰岩、玄武岩質自破砕溶岩と多様で大量の火山岩類が見られ、石仏、杖石、字書き岩などの奇岩を生み出しています。活動の末期には、火山深成複合岩体の対をなす五味原文象斑岩が上昇し、付近の呂瀬金山の熱源になったと推定されています。

～槍穂高カルデラ火山～
飛騨山脈の主稜線をなす槍穂高連峰は、昔は１０００ｍほどの丘陵地でした。１７６万年前と１７５万年前に大規模噴火を起こしたカルデラ火山で、カルデラ内堆積物である溶岩、溶結凝灰岩と、そこに底付けされた滝谷花崗閃緑岩が急激に上昇してできた山稜です。
滝谷花崗閃緑岩は１４４万年前の年代を示し、世界一新しい第四紀の花崗岩です。この噴火に伴う火山灰は房総半島まで飛び、関東平野の重要な地層となっています。

～上宝火山～
飛騨山脈の急激な上昇が終わりかけた６４万年前に福地温泉付近で噴火したのが上宝火山です。大規模な火砕流が西に向けて流れ出し、八本原を形成しました。２０００ｍ近い火山体は浸食により消失しましたが、給源火道は東西１．４ｋｍ、南北０．９ｋｍの大きさで残っています。節理の明瞭な堆積物は槍ヶ岳を開山した、播隆上人ゆかりの杓子の岩屋、横倒しの材木岩、沢上谷のナメ滝などを創出しました。

～乗鞍火山～
１２８万年前～９千年前にかけて活動した火山で、富士山のように噴出物を積み上げてできた火山ではなく、マグマの侵入により、基盤の美濃帯が押し上げられた稜線上で噴火した火山です。２４００ｍ以上の場所で美濃帯の地層が確認されており、あげぞこ火山ともよばれています。１２８万年前から８６万年前にかけて活動した古期乗鞍火山と５０万年の間をおいて新規乗鞍火山が活動を始めました。乗鞍岳は２回の大規模な山体崩壊をしており、崩壊跡を埋めるように恵比須火山体、権現池火山体が溶岩を流し込み五色ヶ原の森を形成しました。北側の山体崩壊跡には四ッ岳火山体が溶岩を流し込み、その先に平湯大滝があります。

～焼岳火山群～
焼岳を中心とする焼岳火山群は１２万年前～７万年前に活動した旧期焼岳火山（岩坪山・大棚・割谷山）と２万５千年前から活動を始めた新規焼岳火山（白谷山・アカンダナ山）があります。新規焼岳火山群では粘りの強いマグマによる溶岩ドームの形成が目立ち、白谷では溶岩ドームがひしめき合い、崩壊性が高い場所となっています。