飛騨山脈は「北アルプス」とも、日本の屋根とも呼ばれる山脈で、槍・穂高連峰を筆頭に日本列島を東西に分画し、太平洋と日本海を分ける中央分水界の最高点は乗鞍岳の山頂にあります。
わたしたちの住む飛騨側は、3000mを超える主稜線は人里に近く、巨大な壁となってそそり立ち、4億7000万年前の日本最古のコノドント化石に始まり現在に至るまでの、ダイナミックな地球の活動史が散りばめられています。
ここでは飛騨山脈ジオパーク構想の代表的な「ジオサイト」をご紹介します。
わたしたちの飛騨山脈ジオパーク構想のエリアには、焼岳、アカンダナ山、乗鞍岳の3つの活火山が存在します。
日本が誇る文化の一つである温泉は活火山の贈り物ともいえ、奥飛騨温泉郷が温泉大国といわれる日本において自然湧出量第3位であることからも、火山とこの地域の暮らしがいかに密接に関係しているかがわかります。
日本列島がまだできていない頃、この飛騨帯が大陸のヘリのようなところの一部として存在していた大陸起源の花崗岩地帯です。 多様な岩相の花崗岩が集合した飛騨花崗岩類とよばれ、深成岩の集合体である日本最古のバソリスを形成しています。 現在、飛騨帯で見られる花崗岩は3億年前から1億5千万年前のものです。 |
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「飛騨帯」を南から取り囲むように分布する地質帯で、大陸縁の暖かな浅い海で堆積した地層です。 堆積の厚さは2000mを超えますが、地殻変動によって横倒しにされ、地下深いところへ押し込まれた経緯があるといわれています。 オルドビス紀(4億8830万年前~4億4370万年前)からは日本最古のコノドント化石が発見されています。 福地温泉のオソブ谷流域一ノ谷は「福地の化石産地」として国の天然記念物に指定され、立ち入りが制限されています。 |
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「飛騨外縁帯」の南側に分布する地質帯で、陸地から遠く離れた海洋底に堆積した地層です。 チャートなどの珪質岩を主体としますが、海底火山の玄武岩、海底火山の頂上部に形成されたサンゴ礁からなる石灰岩が含まれます。 海洋プレートに運ばれ、海溝で陸側のプレートに押し付けられた際に、激しくかく乱され、メランジと呼ばれる乱された構造を示します。 |
飛騨山脈ジオパーク構想のエリアには、国の天然記念物に指定されている「ライチョウ」や「ニホンカモシカ」をはじめ、「ツキノワグマ」「ニホンザル」「オコジョ」などの多種多様な生き物たちを、比較的身近なところで見ることができます。
エリア内の標高差は、2500mを超え、植物は分布高度の境界が錯綜し、高山帯―亜高山帯、亜高山帯―里山などの樹林帯境界では双方の植生の混在が目立ちます。乗鞍山麓五色ヶ原の森など、ごく一部の地域では人の手が入っていない天然林や長い間手が付けられていない極相林があるなど、豊かな自然林が分布しています。
また、ハイマツ帯を超えると、高山植物の世界が広がり、高山植物の女王とも呼ばれる薄紅色の「コマクサ」を筆頭として「イワギキョウ」や「シナノキンバイ」「クロユリ」「チングルマ」「イワカガミ」などが短い夏の間にそれでも季節を分けて競い合うように咲き競い、乗鞍岳では誰でも容易に高山植物のお花畑を散策することができます。