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飛騨山脈のジオのおはなし

第47章 乗鞍山麓五色ヶ原 ゴスワラコース

乗鞍山麓五色ヶ原 ゴスワラコース

ゴスワラコースは、標高1600~1900mにあり、五色ヶ原のコースの中では最も上流にあります。溶岩流のデコボコした表面(ゴスワラ)がよくわかるコースです。

乗鞍岳の最新の溶岩流出は、権現池火山の活動です。約9000年前のことでした。現在の乗鞍岳最高峰剣ヶ峰の西側にある権現池噴火口から、西側(岐阜県側)に溶岩が流出しました。

ゴスワラコースでは、下流側に平(ひら)金(がね)溶岩、それを覆い上流側に岩井谷溶岩があります。
溶岩流は、流れながら冷却され、表面から固化して岩石になります。しかし、後ろから新しい溶岩が押し出してくるため、固化した部分が壊されます。そのため、溶岩の先端部はブロック状の岩石になり、やがて溶岩の流れが止まります。

その後、溶岩は冷えるに伴い体積が減るため内部に隙間を生じ、節理とよばれる平行な隙間をたくさん生じます。溶岩は隙間から割れやすいため、ごろごろとした隙間の多い地表面になります。また、岩石の表面は、火山ガスが抜けた小さな穴が多く見られます。
溶岩流の上は土壌が乏しいため、岩石表面のコケ類を元に植生ができています。
ゴスワラコースでは、大木も含めほとんどの植物が、溶岩の表面に生えたコケ類の上に根を張り、巨大な岩を抱え込むように成長している様子を観察できます。

コースを流れる白川は、岩石表面が白いことによります。これは、火山地帯の温泉によくある硫酸カルシウムによります。黒川は、溶岩(安山岩)の黒い表面から名前がついています。

白川や黒川の谷の侵食が比較的大きく谷の側面が急峻であるため、側面に魚止めの滝や耳洗の滝などができています。
※写真は森の音楽堂
(飛騨地学研究会 中田裕一)

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