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飛騨山脈のジオのおはなし

第44章 乗鞍山麓 五色ヶ原

乗鞍山麓 五色ヶ原

乗鞍岳の五色ヶ原は、岐阜県側(高山市丹生川町)の山麓約3000ha、標高1300~1600mの間に広がる森をいいます。

そこには、溶岩流がデコボコした表面を作っており、地元ではゴスワラと呼ばれています。この溶岩流は、約32万年前以降の乗鞍岳の活動で流れたものです。また、山地帯から亜高山帯の植生が広がり、ブナ、ミズナラの広葉樹林からコメツガシラビソ、オオシラビソの針葉樹林が広がっています。さらに、多くの滝や池、渓流、湿原があり、野生動物や昆虫や野草等の宝庫でもあります。

地元でしか知られていなかった五色ヶ原の森が一般に開放されたのは、2004(平成16)年7月、地域住民と行政が一体となったトレッキングコースとして開放されました。日本で初めての制度として森の案内人である認定ガイドの同行が義務づけられ、一日の入山者数が規制されています。ツアーは有料化され、入山料等は高山市の条例で定められています。また、自然環境への最大限の配慮をしながら、木道や橋、休憩所や避難小屋が設置されています。

現在、ツアーコースは3つあります。カモシカコースは、久手御越滝(くてみこしだき)、池之俣御輿滝(いけのまたみこしたき)、青垂滝(あおだれたき)を巡るコースです。シラビソコースは、雄池から池に映る乗鞍岳を仰ぎ、布引滝も見学できます。ゴスワラコースは、貴重な原生林と、魚止の滝や耳洗いの滝を巡るコースです。

どのコースも一日がかりのコースで、乗鞍岳の溶岩流にかかる滝を眺め、デコボコした溶岩流の上を歩きます。森林の渓谷美を味わい、可憐な山野草と出会うことができます。
 写真はシラビソコース雄池
(飛騨地学研究会 中田裕一)

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