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飛騨山脈のジオのおはなし

第40章 八本原

八本原

八本原は、高山市丹生川町の北東部にある標高標高1300~1700mの平坦な高原です。平坦面は、東から西に徐々に傾いています。この平坦面は、大規模な火砕流堆積物がつくった堆積面で、火砕流台地となっています。

この火砕流は、上宝火砕流(写真)とよばれ、64万年前に奥飛騨温泉郷福地の南にある貝塩付近から噴出したものです。

堆積物の厚さは250m、堆積物は乗鞍岳周辺から高山市街地付近まで500㎞平方に渡り分布しています。現在の高山市街地付近まで、火砕流は流れ下りました。分布は分水嶺を越え、南の飛騨川流域まで及んでいます。火砕流は、流れた後自重と熱で硬くなり、溶結凝灰岩とよぶ岩石の台地をつくりました。噴出後、河川や谷川の侵食で台地のへりは削られ、現在は八本原の部分が残っています。

上宝火砕流堆積物の下には、約240万年前に噴出した丹生川火砕流堆積物があります。これは、現在の穂高岳付近から噴出したものです。
八本原を東西に貫く八本原林道を歩きました。林道は平坦面に沿って、ほとんど水平に近く、ところどころ灰色の溶結凝灰岩の崖や岩石が見えます。平坦部の中に浅い谷が入っており、やがて平坦面も侵食される運命にあるといえます。鉄柵の跡があり、牛の放牧等に使われたようです。

八本原の三角点、日面山(ひよもやま)は、林道横の少し高いところにありました。八本原は、遠くから見ると平坦面ですが、現地では丘陵地が集まったような地形をしています。八本原の溶結凝灰岩は、風化の影響か、もろく崩れやすいものでした。崖からはがれるように割れて、落下していました。
(飛騨地学研究会 中田裕一)

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