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飛騨山脈のジオのおはなし

第38章 芦谷の百間滝

芦谷の百間滝

丹生川町を国道158号に沿って東に向かうと、山波が迫ってくるあたりから、岩石は古生代の末から中生代の前期の堆積岩や火山岩がブロック状で、あるいは混じり合って見られるようになります。芦谷から百間滝までの谷筋でも同様な岩石が見られます。

滝をつくっている岩石は、海底から噴出した溶岩(玄武岩)で、数千mの厚さがあったと考えられます。その後、この溶岩は弱い熱変成を受け、緑色岩という緑色の岩石になりました。この溶岩は、最初に地表に現れたとき、現在のハワイ島の位置でハワイ島のような火山島をつくっていました。

この火山島は、太平洋プレートの上にあるため、年10㎝程度の速さで日本の方に移動し、次第にマグマが噴出するスポットからはずれました。
すると、下からのマグマを押し上げる力がなくなり、火山島は海中に沈んでいきます。沈みかけた島の周りにはサンゴ礁ができ、沈んでいく分サンゴが上に継ぎ足され、日本付近に着くころには、風化して緑色になった玄武岩の上にサンゴなどの石灰分が固まった石灰岩ができあがりました。

また、太平洋を1億年もかけて移動している間に、ケイ酸塩の殻をもった生物(主に放散虫)の死骸が海底に堆積し固まってチャートと呼ばれている岩石になりました。緑色岩、石灰岩、チャートの3種類をセットとする岩石群が大陸の縁にあった日本の沿岸に堆積した砂泥の中に突っ込んで、丹生川付近にも分布しています。
滝となっている地点は高低差が60mを超える急斜面で、滝などの断層地形をつくっています。
(飛騨地学研究会 鷲見 浩)

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