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第20章 飛騨大鍾乳洞のルーツ

サンゴ礁が起源、海のプレートに乗って移動

コラム20章画像 飛騨山脈の西方にある丹生川町日面の飛騨大鍾乳洞は、観光鍾乳洞では日本一高い標高約900mの所にあります。国内でも数少ない、ねじれて垂れた鍾乳石「ヘリクタイト」が多数見られ貴重な場所です。
鍾乳洞は、サンゴ礁を起源とする石灰岩が雨水や地下水によって溶かされて出来た洞窟です。洞内には鍾乳石などが長い年月をかけて形成されています。また、ドリーネと呼ばれる地表の窪地もあり、その多くは竪穴を通じて鍾乳洞へ繋がっています。このドリーネへ動物が落ち,化石として発見されることがあります。飛騨大鍾乳洞でも、新生代第四紀更新世(約250万~1万年前)の哺乳類化石が発見されています。
周辺の石灰岩からは、ウミユリ(ヒトデやウニの仲間)やフズリナ(らせん状の殻を持つプランクトンの仲間)やサンゴ類等の化石が産出します。それらの年代を調べると、古生代ペルム紀前期(約2億7000万年前)で、サンゴ礁の海に生息していた生物と推定されています。
また、共に産する腕足類(二枚貝によく似た軟体動物)を調べると、遠く離れた北米のテキサス州西部と同じ種類が産出する事が分かりました。なぜでしょうか。この付近の地質は、美濃帯と呼ばれる広大な地質帯の一部で、海洋プレート(海底の土台になる岩盤)に堆積したものが,ユーラシア大陸への沈み込みに伴って大陸縁に押しつけられ,その後隆起してきた地層なのです。
日面周辺の石灰岩は、現在の北米西海岸沖で海底に堆積し、プレートの動きに乗って太平洋を横断し,日本列島の一部になったと推定されています。
(飛騨地学研究会 三宅幸雄)

 
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