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飛騨山脈のジオのおはなし

第19章 日本有数の化石産地「福地」

有名な化石産地、中国北部の化石と一致

コラム19章画像 奥飛騨温泉郷福地には福地山へ登るトレッキングコースがあり、飛騨山脈を間近で一望できます。このコースの途中で古生代デボン紀前期(約4億年前)の海生生物の化石である層孔虫(海綿),蜂の巣サンゴ(写真)等が出てきます。また、近くの「昔ばなしの里」の2階、「福地化石館」では、これらの化石を見学できます。
この辺りは飛騨外縁帯という日本でも最古級の古い地層が細長く分布しています。この地層の形成時期は、古生代オルドビス紀(約4億5000万年前)~ペルム紀前期(約2億9000万年前)です。また、福地のオソブ谷支流,一の谷は、飛騨外縁帯の一部の地層がほぼ連続して観察でき、国の天然記念物に指定されています。さらに、福地の北東,一重ヶ根では、1996年にオルドビス紀を示すコノドント(絶滅魚の歯)が発見され日本最古の化石として注目されました。
福地の古生代の化石を詳しく研究したところ、シルル紀後期(約4億2000万年前)~デボン紀前期では中国北部とオーストラリア東部に出てくる化石と類似性があることが分かりました。また、石炭紀後期(約3億2000万前)の地層からは、腕足類(二枚貝に類似している軟体動物)のパードネラ・チェルニシェフィフォルミスが発見され、これと同じ化石は、中国北部でしか産出していないため、当時、福地は中国東縁の浅い海底であったと考えられています。

その後福地は、プレート(海洋底を含む岩盤)の動きにより今の日本にまで達し、隆起して現在の位置にいったと推定されます。

最近では、一重ヶ根のシルル紀の地層から見つかった貝形虫(小型の甲殻類)は、雄と雌があり、日本最古の「カップル」の化石として話題になりました。

(飛騨地学研究会 三宅幸雄)

 
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