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飛騨山脈のジオのおはなし

第9章 穂高連峰その1

穂高連峰と同じえび坂の石垣

コラム9章画像乗鞍岳や白山には登ったが,穂高連峰には登っていないという人が多いと思います。西穂高岳独標から先はルートが切り立った岩稜となっているため,初心者は足がすくんでしまい,なかなか行けないそうです。理由は2つあり、1つは穂高連峰の大地が氷河期を経て氷河や水に侵食されてしまったからです。乗鞍岳や白山は,氷河期が終わった後に溶岩が流れたためなだらかな斜面が残り,比較的登りやすいのです。
もう1つは,穂高連峰を形成する岩石が石材に使われるくらい硬い岩石だからです。その岩石は176万年前ごろ,穂高連峰一帯の地下からマグマが大噴出してできました。大噴出は地下のマグマだまりに上部の大地が落ち込んだためだと考えられています。
大地が落ち込んだ巨大なくぼみをカルデラといいます。そこに大噴出したマグマが火砕流となり堆積し,溶結凝灰岩という硬い岩石になりました。これらの岩石は,穂高安山岩類といいます。カルデラだったところは侵食を受けつつどんどん隆起し,3000mを超える山容になりました。
また,穂高連峰のカルデラからあふれた火砕流は高山市東部に流れ下り,丹生川町の高台を造り,上野平では厚さ3mほど堆積しました。この火砕流は丹生川火砕流とよばれます。この火砕流の堆積物は石材として採掘され,神社の石灯篭に加工されたり,高山市のえび坂の石垣上部の角ばった石材として利用されています。
(飛騨地学研究会 鷲見 浩)

 
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