飛騨山脈は北アルプスのこと
「飛騨山脈という呼び名は正式名称です」というと「えっ、そうなの、知らなかった」という人が意外と多くいます。むしろニックネームとでもいうべき「北アルプス」の方が通りがいいようです。アルプスという呼び名は、イギリスの鉱山技師ウイリアム・ゴーランドが、飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈がヨーロッパのアルプス山脈に似ているとして「日本アルプス」と呼んだ(1881年)ことがその始まりです。その後「アルプス」やヨーロッパなどへの憧れもあり、次第に本名の影が薄れ、今日にいたっています。しかし、この山脈の主役である槍穂高連峰や笠ヶ岳・黒部五郎岳などの山並みが、飛騨側の高山盆地からよく見渡されるため飛騨山脈と命名されたのです。
この飛騨山脈は、本州中央部にほぼ南北に連なる山岳地帯の北部にあって南端の御嶽山から岐阜県(飛騨)・長野県・富山県・新潟県の境に沿って日本海沿岸の親不知付近にまで達する大山脈です。南北約100km、東西約30kmにわたり、標高3000m級の高峰が立ち並んでいます。また、氷河が作り出したカール(笠ヶ岳など)や氷食尖峰(槍ヶ岳穂高連峰)が多くみられます。
飛騨山脈は、世界に類を見ない速さで隆起してきました。また、焼岳をはじめとした多くの活火山があり、豊富な温泉にも恵まれています。このように魅力たっぷりの飛騨山脈についてみどころを順次紹介していきたいと思います。(飛騨地学研究会 下畑五夫)