福地山は福地温泉の西にそびえる山です。
標高は1671.7mと飛騨山脈の山々に比べさほどではありませんが、地学的には非常に重要な意味を持つ山です。
飛騨山脈ジオパーク構想エリアには大陸の花こう岩からできた飛騨帯、大陸棚のようなところで堆積した地層の飛騨外縁帯、遠い海の底で堆積した地層の美濃帯という区分があります。
特に飛騨外縁帯は2億5000万年前に起こった大規模な地殻変動により南の海から運ばれてきて、横倒しにされ、地下深いところへ押し込まれた地層がまた地表に現れている場所なのです。
福地山はその中心的な場所であり、登山道の石灰岩には化石が見られます。
福地温泉の中心に、昔ばなしの里があります。古民家に囲炉裏が設けられ、昔の暮らしぶりを再現してあります。バス停からの通り道には朝市があり、地元の野菜などが販売されています。
昔ばなしの里の古民家「福地家」の2階は化石館として、奥飛騨温泉郷周辺で収集された化石が展示されています。
コースにはトイレ、水場がありません。化石館で済ませておきましょう。登山口には全体を表示した案内看板があります。そのわきを通り抜けて登山道が始まります。登り始めてしばらく進むと見えてくるあずま屋が焼岳展望台です。噴煙をあげる活火山焼岳を正面に見ることができます。
無然平の名前は、大正時代に飛騨地域で社会教育の先駆者として活動した教育者の篠原無然から由来しています。篠原無然は兵庫県に生まれ、社会教育に力を注ぐかたわら、奥飛騨温泉郷の輝山、福地山等で瞑想を行ったといわれています。
大正13年11月に信濃から平湯に入りますが、安房峠で猛吹雪に阻まれ平湯温泉の明かりがようやく見えたあたりで息絶えたといわれています。
無然平付近までの登山道には、石灰岩の転石がたくさん見られます。ほとんどの石灰岩に化石が含まれています。注意して観察してみましょう。
登山道の途中には展望台が設けられおり、槍・穂高連峰等、雄大な飛騨山脈を眺めることができます。展望台ごとに視線が高くなり景色の表情も変化します。
登山口から、およそ2時間半で山頂に到着します。
山頂からも飛騨山脈の山々が遠望できます。槍穂高連峰だけでなく、新期(白谷山、アカンダナ山)、旧期(岩坪山、大棚火山)の焼岳火山群が一望できます。