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飛騨山脈のジオのおはなし

第45章 乗鞍山麓五色ヶ原 カモシカコース 

乗鞍山麓五色ヶ原 カモシカコース

カモシカコースでは、32万年前の広大な烏帽子(えぼし)溶岩と、それが侵食された谷を埋めて2万年前に流れ溶岩地形を残す恵比須(えびす)溶岩が見られます。

また、カモシカコースには、久手御越滝(くてみこしだき)、池之俣御輿滝(いけのまたみこしたき)、仙人滝、青垂滝(あおだれたき)〈雄滝〉、青垂滝(あおだれたき)〈雌滝〉の5つの滝が標高1500~1550mのほぼ同じ標高にあります。5つの滝が落ちる溶岩の岩盤には、多くの平行な縦の割れ目といくつかの段差が観察され、これらの滝の成因は同じだと思わせてくれます。

溶岩にできる縦の平行な割れ目は、マグマが冷えて固まる時体積が減少するためにでき、柱状節理といいます。そして、溶岩の内部ほどゆっくり冷えるので、内部ほど割れ目の間隔が広く大きな柱状節理ができます。割れ目に沿って割れて倒れたとき、大きな節理ほど高く広い急崖を作ります。

5つの滝のある烏帽子溶岩は、朴の木平スキー場近くまで流れ下っており、地形図から、溶岩は100mほどの厚さで柱状節理は発達していません。より火口に近い5つの滝の近くでは、溶岩流の表面は当初標高1800mより上にあったと考えられ、溶岩の表面から250mを超える厚さの内部が、現在の5つの滝の柱状節理となって現れています。
時間と共に烏帽子溶岩が侵食される過程で、内部の大きな柱状節理が現れたところ、すなわち標高1500m程の所に滝がそろってできています。炭木岩の標高も同じで、同様にしてできたと考えられます。

青垂滝の雌滝では、柱状節理で割れた縦長の石柱が水流によって押し倒され、滝のすぐ下流にその砕けた岩塊があります。節理の割れ目が垂直の滝の崖の面となっています。
(飛騨地学研究会 鷲見 浩)

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