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飛騨山脈のジオのおはなし

第26章 奥飛騨温泉郷2

奥飛騨温泉郷の特色

改めて「温泉とは何?」と問われるとほとんどの人は、「読んで字の如く、温かい湧き水(泉)、沸かさんでも入れる、これが本当の温泉やさ」と答えます。

飛騨の第7代 代官 長谷川忠崇(はせがわただたか)によって編纂(へんさん)された「飛州志(ひしゅうし)」の温泉の項に「飛騨には温泉が多くあり、その土地によって冷温剛柔(れいおんごうじゅう)ありといえども湿疹、打身、痔疾(じしつ)、淋病(りんびょう)、瘡毒(そうどく)、疝気(せんき)、金瘡(きんそう)等を專治せりとみえたり云々」とあります。温泉には、様々な温度(泉温)や剛柔すなわち肌触り(泉質)があるが、様々な病気・怪我を治してくれる存在と捉えられていたことが伺えます。沸かさなくてもいい湧き水すなわち鉱泉も温泉と呼んでいました。

現在、地学(温泉学)上では、物理(泉温)・化学(泉質)的に普通の水とは異なる特殊な水が地中から湧き出しているものを温泉といいます。

しかしこれでは、実際の温泉利用上漠然としています。日本では、温泉法で次のように定められています。「地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(天然ガスを除く)で別表に掲げる温度(25℃以上)又は物質(1g以上)を有するものをいう。」 従って泉温が25℃以上あれば、鉱物質が1g以下でも温泉を名のることができます。

奥飛騨温泉郷の泉温は、ほとんどが50~99℃を示し、熱くてそのまま入れない場合が多いのです。自然に冷まして入る源泉掛け流しの露天風呂が数多くある訳です。中には中尾温泉のように、泉温100℃以上で水蒸気という状態で噴出しています(蒸気泉)。

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