焼岳と栃尾小学校の砂防学習
奥飛騨温泉郷は5つの温泉地(平湯・福地・新平湯・栃尾・新穂高)の総称で,多くの観光客が訪れています。これらの温泉の熱源が焼岳とその近くの火山に由来することは容易に想像できます。この辺りは現在も噴煙を上げている焼岳や,乗鞍岳,アカンダナ山などの活火山が連なる地域です。温泉は火山活動の恩恵であり,自然の景勝地と共に癒しの代名詞として私たちに潤いをもたらしています。
一方,平成26年の御嶽山噴火で多くの犠牲者が出たため火山防災の見直しが急務となり,翌27年,活火山法が改定されています。すでに北稜中学校では平成24年からの2ヶ年間,県防災教育推進事業の指定を受け,子どもから大人まで地域が連携して防災教育に取り組み災害に備えています。「自分の命は自分で守る」をキーワードに,正しい知識を学び,判断力や行動力を養う「命を守る訓練」を実施しています。
栃尾地区の洞谷では,昭和54年に豪雨により土石流災害が発生したため,現在では立派な砂防えん堤が整備されています。栃尾小学校ではNPO法人神通砂防,京都大学防災研究所の協力を得て砂防えん堤の役割や防災の大切さについても学んでいます。
土石流は山脈を配する地形や火山活動による地質の特徴が大きく関わっています。自然と正対し火山との共存共生のためにも,子ども達や地域の人たちの防災教育はますます大切になります。
(飛騨地学研究会 三塚洋)
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