乗鞍登山は、山岳信仰による行者の登山がきっかけでした。乗鞍岳の登山路は、昭和初期には岐阜県側だけで10本もあり、強い信仰によって登山口が支えられ、地元にも大勢の信者がいました。そして、ガウランドやウェストンらの登山によって、近代登山(趣味での山登り)が広がっていきました。乗鞍スカイライン開通後はこれら旧登山道を利用する人は減り、廃道になったものも多いです。

平湯・乗鞍新登山道
平湯・乗鞍新登山道
千町ヶ原を通る青屋道
千町ヶ原を通る青屋道
青屋道途中から望む御嶽山
青屋道途中から望む御嶽山

〇登山道開拓の歴史
乗鞍岳への登山道は、地元民によって開拓された歴史があります。青屋道は旧朝日村~千町ヶ原~乗鞍岳のルートで、避難小屋が建設されました。阿多野道は旧高根町阿多野郷~乗鞍岳のルートで、山小屋が建設されました。赤川新道・黒川新道は板殿正太郎によって開拓されました。旧登山道は、地元民が長い年月をかけ、登山道開通による地域の発展のため、地道な努力を続けて開通・整備していったものです。
〇乗鞍岳の登山道
乗鞍岳の麓から剣ヶ峰まで現在利用できる岐阜県側の登山道は、国立青年自然の家から丸黒山、千町ヶ原を経るコース、朝日町青屋からのコース、平湯温泉スキー場からのコースがあります。平湯コースはかつて荒廃していましたが、近年、クラウドファンディングなどを利用して整備されました。乗鞍スカイラインには、平湯下山口というバス停も設けられました。
畳平から剣ヶ峰までの登山道は剣ヶ峰山頂までおよそ2 時間以内で着くことができます。比較的体力がない方でも、老若男女、だれもが雄大な景観、群れなす高山植物の可憐な姿、清澄な空気、高山の雰囲気を味わえるのが魅力です。